歴代指導医からのメッセージ

精神科神経科准教授 宮岡剛

私たち島根大学精神科神経科では「人間力と治療技術を兼備した精神科医の育成」 「時代にマッチした精神科医療の提供」「時代に流されない臨床研究の推進」を基本方針に、 日々、確かな精神医療と先端の研究を実践すべく、絶え間 ない努力と研鑽を続けています。 現在、我が国では「超高齢化」「自殺者の急増」「若年者のひきこもり」などが大きな社会問題となり、 精神科医療の重要性が強く認識されています。今後も精神科医療の社会的ニーズは増えていくものと考えられます。

前期臨床研修では一般科の日常臨床においても頻繁に遭遇する「うつ状態」 「せん妄」について、的確な診断と治療が出来ることを目標としたプログラムを用意しております。 後期臨床研修では代表的な精神疾患に対応出来きる技術 が収得出来ることを目標にしたプログラムとなっています。 いずれの臨床研修に於きましても、担当する症例数を絞り、一症例にじっくりと取り組めるように配慮したプログラムとなっております。 また症例ごとに毎週開催される症例検討会では、多くの上級医師からの助言や指導を得られる良い機会であり、 この指導体制は大学病院ならではだと思います。

患者の病変ばかりに強い関心を置き過ぎるすぎるあまり、「一人の人間として の患者」という当たり前のことが、 忘れ去られてしまう傾向があると言われています。 精神科での臨床研修を通じてこの当たり前のことを再認識できれば、 非常に意義のある研修となるものと思います。

内分泌代謝内科助教 栗岡 聡一

卒後前期研修中のみなさん、内分泌代謝内科の栗岡です。 平成6年に島根医科大学を卒業し、今年で13年目になります。

卒業後は、地元の兵庫県内での研修をするか、島根大学に 残るかで大変迷いました。 前任の教授が同じ高校出身であること、糖尿病など生活習慣病 が増加していて、 糖尿病・内分泌代謝専門医の需要も多いと考え、内分泌代謝内科に入局しました。

1年間の大学研修の後、鳥取赤十字病院(鳥取市)で1年間内科研修を行いました。 その後、3~9年目は島根大学付属病院で、10~12年目は松江市立病院で専門医として 糖尿病・内分泌疾患の診療を行い、平成18年4月から、再び大学病院に勤務しています。

6月から、病棟医長として、前期研修医、内分泌代謝専門医、糖尿病専門医を志す後期研修 医の方の指導を担当しています。

内科志望で後期研修をどこで行うか迷っておられる方、糖尿病、生活習慣病、内分泌疾患 に興味のある方は、ぜひ当科に見学に来てください。

近年、大学病院の必要性については、 様々な議論があります。 しかし、研修医の指導に関して、特に内科領域は、依然として重要な役割を担っています。 内科医に求められるのは、幅広い知識(一般内科医)と専門性(専門医)です。 そのためには、多数の患者様を診療することと、一人一人の患者様をじっくり考えることが必要ですが、これを同時期に行うことは不可能です。 したがって、市中病院で多数の患者様を診療する期間と、大学病院で指導医と一緒にじっくりと診療する 期間の両方が必要と考えます。

糖尿病、高血圧、高脂血症、骨粗しょう症など生活習慣病は、高齢化社会の日本では、特に重要な医療の分野です。 しかし、他の内科と比較して、まだまだ医師の人数が不足しています。 医局員の全員が、一般内科医、内分泌代謝、糖尿病専門医として日本全国どこでも通用するよう、臨床力の向上に努力しています。 当科で研修していただける方は、指導医が全力で指導にあたるようにしております。

循環器内科講師 佐藤秀俊

みなさん、こんにちは。循環器内科の佐藤秀俊です。
私は平成3年に島根医科大学を卒業後、内科学講座第4(循環器内科)に入局しました。 卒後は大学院と臨床研修の両方を行いました。

学位取得後、県内西部地区の日原共存病院、済生会江津総合病院に勤務し、 平成15年1月から日本で有数の心臓カテーテル治療の専門病院である豊橋ハートセンター 鈴木孝彦院長、加藤修研究所長)に平成16年12月までの2年間勤務(国内留学) して約1200例の心臓カテーテル検査と約500例の経皮的冠動脈形成術を術者として施行しました。 平成17年1月から大学に帰り、心臓カテーテル部門のチーフとして検査、治療に当たっています。

現在国内では食生活の欧米化により生活習慣病を原因とした心疾患(動脈硬化性冠動脈疾患など)が増えています。 また島根県は高齢県であり、現在の島根の医療は10年先の日本の医療の状況と言われています。 私たち循環器内科では、田邊一明教授のもと医局員全員で、循環器医として、また内科医として地域医療に関わりながら、 最先端の医療を提供できるように日常診療に取り組んでいます。 そして、大学としての使命である学生教育、研修医の指導にも力を入れています。

私たちの大学病院、そして循環器内科で研修し、患者さんに最善の治療を提供できるように一緒に頑張りましょう。お待ちしています。

血液内科講師 田中順子

臨床研修医の皆さん、こんにちは。血液内科の田中順子です。

私は学生実習の時に白血病の患者さんが治っていく姿をみて、この分野に魅かれて入りました。 診断から治療までかかわっていく充実感や、新しい治療薬が開発されその効果を実感できるなど、 20年たった今でも飽きることなく年々面白さが増しています。

造血器悪性腫瘍は、全身に広がっていても治る可能性のある疾患です。 しかし、治癒に至るまでに出現する様々な合併症を乗り越えなければなりません。 その際に、呼吸器、循環器、腎臓、内分泌代謝、消化器などあらゆる内科の知識が必要となります。 それらを駆使して全身を管理し、治癒に至った時の達成感は得難いものがあります。 島根県は人口が少ない所ですが、当院には慢性の貧血から悪性腫瘍まで様々な患者さんが来られ、ほとんどの血液疾患を経験することができます。

興味のある方はぜひ一緒に仕事をしましょう。我々スタッフ一同で指導にあたります。

呼吸器・化学療法内科助教 須谷顕尚

みなさんこんにちは、呼吸器・化学療法内科の須谷顕尚です。

私は2009年4月より生まれ故郷である島根に戻り、島根大学医学部附属病院に勤務しております。
1年間勤務して感じたことは、ここは大学病院でありながら専門的な医療に偏らず、日常よく遭遇する急性疾患や多くの合併症を抱えた高齢者も多く診療できることです。 これはまさに新しい臨床研修制度がめざすプライマリケアや全人的医療の研修に適した条件を持っているといえます。
一方で高度先進医療や臨床試験なども積極的に行われており、地域で唯一の大学病院であることから、普段診療することのない稀な疾患も遠方から紹介され集まってきます。 これは大学病院がひしめき合う都会ではないことと思います。つまり、地域の中核病院としてcommon diseasesのプライマリケアと、 高度先進医療を担う大学病院として専門疾患の診療を同時に、数多くの指導医の下で行うことが出来ます。

また、当院は研修指導医のセミナー、スキルスラボの設置、多彩な研修プログラムの設定など充実した研修医制度があります。 初期研修でしっかりと医師としての基礎的なスキルを身につけた後に、後期研修では、症例数の多い他大学へでかけて研修をしたり、 当院より高度で専門性の高い大学での研修も可能となっています。

医師になった直後は、だれもが早く一人前になりたいと、また専門的技術を取得したいと焦るものです。 しかし、医師に必要なものは最新のEBMの実施や専門的手技だけではありません。 患者の生活背景、家族関係などを考慮し、科学的、社会学的、倫理学的に基づき患者中心の医療を行う必要があります。 生涯にわたり医師という生業を全うするためには、若いうちから将来どのような医師になるのかを考え、 そのために今何が必要なのかを考えてもらいたいと思います。

海と川と森林と、豊かな自然にかこまれた環境の中で、生涯にわたって優れた医師として活躍するための力を、 すばらしい研修プログラムと指導医たちと共に、学び、働き、育んでいきませんか。

放射線治療科准教授 玉置幸久

皆さん、こんにちは!

放射線治療科/卒後臨床研修センターのティーチングスタッフの玉置幸久です。

臨床研修をどのようにするか、皆さん悩まれていることと存じます。
島根大学病院で臨床研修の特徴やメリットはいろいろとありますが、 第一には研修医ひとりひとりに応じたきめ細かな指導ができている点が挙げられます。 研修医として修得すべきminimum requirementを基盤としつつも、その上には各自の進路や興味、研修希望に合わせた柔軟なプログラムを提供しています。

第二に、鑑別診断道場や早朝セミナーなど、横断的なレクチャーや教育イベントを多数開催していることです。 各診療科での受け持ち症例を通じた日々の研修を縦糸の研修とすると、これらの横断的レクチャーは文字通り横糸の役割を果たしており、研修に厚みを持たせています。 いろいろなアプローチや観点から疾患や病態を整理することで、事象を複眼的に捉え、重層的に理解を深める促しを行っています。

第三に、他施設との連携が活発であることが挙げられます。島根県立中央病院や松江赤十字病院など島根県内の臨床研修病院とのたすき掛けコースが充実しており、 大学病院と市中病院を1年ずつ研修し、双方のストロングポイントを効率よく研修できるようにしております。必ずや貴重な経験と新たなモチベーション、 そしてかけがえのない恩師や同期との絆を得ることができるでしょう。

さらに、卒後臨床研修センターが組織としてしっかりと研修医をサポートしており、 センター長をはじめ関係するスタッフ全員で研修についての悩みや個々の進路相談にも乗っています。

専門医制度の改革に伴い、各基盤診療科での専門医コースもいち早く整備をし、臨床研修から後期研修への橋渡しもスムーズです。 研修医の皆さんの学びとやる気をサポートし、立派な医師となるための基盤を築くために、私達、 卒後臨床研修センタースタッフおよび指導医は努力を惜しまない覚悟です。

島根大学病院を頼ってくる患者さんのために、ともに悩み、ともに勉強し、ともに成長したいと願っています。

整形外科学教授 内尾祐司

整形外科(学)の使命は損なわれた運動機能を回復・改善させ、 日々の生活が快適で充実したものになるための医学・医療を提供することにあります。

その対象は年齢においては小児から高齢者まで幅広く、部位では手足、脊椎、脊髄、末梢神経、関節などに及び、疾患では骨折などの外傷、 先天性疾患、変形、炎症、腫瘍、加齢変性疾患、スポーツ医学、関節リウマチ、骨粗鬆症など多岐に亘っています。

広範囲なこれらの疾患の診断・治療に習熟するためには、診断・治療にいたる思考過程の訓練とプレゼンテーション能力の向上が必須です。

本研修では部位別、疾患別のエキスパートがマンツーマンで教育します。さらに、技術的なことだけではなく、疾患の不明な点、治療法で改善しなければならない点について どのようにすれば解決できるのか、をいつも考える科学の心を養成し、 人類の福祉に貢献できるような医学・医療を拓くことのできる医療人を育成したいと考えています。